【1ヶ月やってみて分かった】「置き勉」のメリット・デメリット

つい最近、文科省が異例の通知を出した。

ある日突然、学校の古い慣習が一つ煙のように消え去った。それは「置き勉」である。

きっかけはSNSだった。「ランドセルが重すぎる件」的な話があれよあれよという間に広がり、ついには文科省から「教科書重いから、置いてってもええで」と通知が出るまでに至ったのだ。

この通知のおかげで、僕も主任の先生とラーメンを食べに言った時に「置き勉OKにしよっか、重いもんね」「そうっすね」という具合でこってり…いや、あっさり決めることができた。

学校も別にこだわっている訳ではないのだ。すまない。

ということで今回は、1ヶ月置き勉をさせてみて分かったメリットとデメリットを8個紹介する。

 

⭕️メリット

①圧倒的にランドセルが軽くなった

これはもう圧倒的である。ランドセルの存在価値を全面から否定するほどに軽くなった。入れるものがなさ過ぎて、もはや自宅から空気を運んできているだけの強者もいる。

かつてランドセルのネジ1本のために全国を飛び回り、汗をかき、頭を下げて軽量化に挑んだ下町のランドセル職人たちは白目になっているという噂である。

 

②子供の機嫌が良くなった

子供によっては毎朝1.5キロほど歩いて登校する子もいる。教室に入ってきて「疲れました」と不機嫌になっていたが、置き勉をしてからはそれがない。

置き勉効果は帰る時にも感じられる。

前は「体操服と上履きを持って帰って」と声をかけるとめんどくさがっていたが、今は違う。彼らはランドセルに「空間」を手に入れたのだ。その空間を巧みに操り、四次元ポケットかと見紛うほどにどんどん物をねじ込んでいく。トランプは大統領、ランドセルは大容量なのである。(聞かなかったことにしてください)

 

③忘れ物が減った

必要なものは全て学校にあるので忘れ物が劇的に減った。急に使うことの多い資料集やワーク類などもいつでもある。超激レアの保健の教科書なんかもある。

この、何でもある安心感が子供の心の余裕を生み、クラスが安定し、学級経営がうまくいく。そうすれば仕事が早く終わり、行動的になり、Perfumeのライブにも行けるようになる。

「風吹けば桶屋が儲かる」ならぬ「置き勉させればPerfumeに会える」である。

 

④流れで、置き習字道具もOKになった

前は習字用具をいちいち持って帰らせていたが、「持ち物は全て置いていく」がスタンダードになった今は、筆だけ持ち帰らせている。絵の具についても同様で、パレットだけ持ち帰らせている。余計ややこしい気もするが、お試しなので。

まあ、持って帰っても洗うかどうかはまた別の話だが。

 

☕️ブレイクタイム

置き勉は悪いこと?

ちょっと休憩しましょう。そもそも、どうして置き勉が悪いことのように言われているのでしょうか。

先生に聞いても「学校に置いて行ったら家で勉強できないでしょ!」なんて言いますよね。ですが、先生も小学生が家で勉強していないことは知っています。じゃあなぜそんなことを言うのかといえば、理由が分からないから後付けしてるのです。

正しいルーツを知って子供たちにドヤ顔で教えてあげましょう。

置き勉が悪者扱いされ始めたのは1970年代頃。当時はツッパリやヤンキーと呼ばれる、いわゆる不良が高校を中心に沢山いました。彼らは学校の管理教育に馴染めず、反抗の一種として学生鞄の改造や制服のアレンジ、喫煙や飲酒などを始めます。

当時、本革の鞄のマチを細く改造した物が大流行しました。学生たちは鞄を湯に浸けてクタクタにし、重石を乗せて潰すなど、できるだけ鞄を薄くしようとしました。鞄を薄くし学用品を持ち歩かないことで、「勉強や進学なんて世間の価値規範には従わねーぜ」と強く主張したのです。

当然薄い鞄には教科書などの勉強道具は入りません。すると不良達による置き勉が横行します。学校側は規律が崩れるのを防ぐため、「置き勉をするな!」と言います。こうして置き勉は悪者になっていったのです。

 

❌デメリット

⑤教室で管理する手間が増えた

置き勉を許可した瞬間、教室内に30個の本棚が出現した。さながらAmazonの倉庫状態である。ロッカーの中に並べ方の規則性がないため、ピッキングにも時間がかかっている。

教科書の背表紙に色ラベルを貼ったり仕切りを立てたりするなど、管理の方法はいくらでもあるが手間である。本来親が見るべきことを結果的に輸入する形になってしまった。これはトホホBOX行きである。

※トホホBOXとは…トホホと思ったことが行き着くとても残念な墓場。

 

⑥授業が始まってから用意を取りに行く児童が増えた

授業始めますと言ってから教科書やノートを取りに行く児童が増えた。「朝来たらランドセルの中身を机の中に入れる」という1年生から行なっていた習慣が無くなったからだと考えられる。

朝の会で「◯◯君、もう今日の用意した?」と聞いていて、これも親の仕事の輸入であると気付いた。親が前日に家でやることを朝に学校でしなければならなくなった。この悩みもトホホBOXに入れておきたい。

 

⑦家で教科書が見たい時に見れなくなった

保護者の方から非常に多い意見である。「宿題ができていなかったから教科書を見て教えようと思ったら教科書が学校だった」というのが置き勉あるあるのようだ。

他にも、音読や教科書の問題を宿題に出した時に、持って帰るのを忘れてできなかったなんてこともよくあるらしい。その際は、親同士で連絡を取りLINEで写真を送るそうだ。宿題ごときに親がそこまでしなくても良い気もする。

 

⑧いたずらされるリスクが増えた

王道のいたずらは靴隠しである。ジブリ映画「千と千尋の靴隠し」は、靴を隠してしまう千とそれを止めようとする千尋、2つの人格が織りなす心の葛藤をリアルに描いたことで大ヒットとなった。

その理由は、みんな共感するからである。嫌なことを言われた→何か仕返ししたい→靴を隠したら困るかな…これは思考の流れとして誰もが通るところなのだろう。

そう思うと、「嫌な友達の教科書を隠す」ことは手軽に始められる嫌がらせである。今の所まだ起きていないが、いつ起きてもおかしくないなあと思いながら過ごしている。

 

終わりに

こうして見ると、置き勉にしたことで先生の負担が地味に増えたのだと気付く。保護者も、我が子が何も持って帰ってこないのでちゃんと勉強してるのか心配そうだった。

ただ、別の見方をすれば学校のことは学校で完結しているとも取れる。あとは宿題を無くせば、子供の放課後の自由は完全に保証できるのかもしれない。

 

 

あっ部活があったや

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