子供は変だ。
ずっと見ていても飽きない。特に小3〜小5男子の動きは至高である。ふらふらしたり、ゴソゴソしたり、キョロキョロしたり、落ち着きの無さにおいて神がかっている。学校という場所で教師という立場でいると注意せざるを得ないが、心の中では秘かに「男子おもしろすぎる」と思っている。
彼らに「席に着きなさい」と言っても、僕らが想像するように、てくてくと歩いてペタっと椅子に座ることはまず無い。たかだか3mほどの距離の間に、回る、ジャンプする、けんけんする、座るかと思ったらイスに飛び乗る、などをふんだんに詰め込んでくる。一連の謎動作が終わった後、やっと座るのだ。僕はこれを見て「すごい」と思ってしまう。
だって考えてみてほしい、まず大人でこんなクリエイティブな動きをしているやつはいない。よく子どもにも「あなたが将来会社員になってそんな動きをしたら、即クビです」と言っているが、本当にそう。面白いけどクビなのだ。
この謎の動きについて、自分でも再現してみたことがある。以下、手順。
<小4男子が3m先の椅子に座る動き>
- 床に座った状態からスタート
- ジャンプで立ち上がる
- 前のめりでけんけんをしながら近くの壁にぶつかる
- 「あ〜れ〜!」と言いながら回る
- ドシンと音を立てて座る
男子は小学校では床に、中学校は椅子に、高校で机にという具合に座る場所が変わっていく生き物である。小学生の彼らは休み時間が終わった後はルンバよろしく床をはっている。そのためまず座った状態から始める。
次に立ち上がるのだが、なんとジャンプをして立ち上がるのだ。よっこいしょではなく、女子に「ちょっと!」と言われるぐらいの初速で立ち上がる。
次に、けんけんをする。足がつくたびに出す声は「おっおっおっ」とか「ボカーンボカーンボカーン」など、様々なバリエーションがある。そのあと近くの壁にぶつかる。ぶつかるものは壁だったり人だったり机だったりなんでもよいが、「跳ね返れる」ものが大事らしい。(冷たい壁は跳ね返らずに、そのまま張り付くこともある)
そして回る。男子は、回るものを見るのも自分が回るのもどちらも好きらしい。
最後に座る。ドシンと音を立てるのが男子の流儀かと言わんばかりの見事な座りでフィニッシュとなる。お尻がいたい。
やってみた感想
やってみるとわかる。座るだけなのにもの凄い運動量。それでいて自由、それでいて迷惑。女子の怪訝な顔なんて御構い無しである。壁にぶつかって跳ね返る辺りは今でもたまにやる気がした。こんな激しい動きをした5秒後にはお茶を飲み、5分後には授業を受けているのだから男子というやつは中々の変態である。周りの目を気にせずにこんな動きができるからこそ小学生って楽しいのかもしれない。
職業がら、いつも注意してばっかりだが本当は「この人たちやりたいこと衝動的に全部やってていいな」と羨んでいる。何かの本に書いてあった。「親はああしなさい、こうしなさいと言って怒るが、それらが全て完璧に守れる子どもはつまらないのではないか」確かにそうだ。男子に比べ女子は圧倒的にお利口だ。けれども印象に残らない。こうでなくてはならないと口では言いつつも実は感覚では彼らに惹かれてしまうのだ。
よくあるオシャレ写真集などで子どもを写したものも、パッと目にとまるのは男子だ。駄菓子屋でおまけして貰えるのもなぜか男子だ。結局みんなバカな男子が好きなのである。「衝撃映像99連発」のような「男子の映像99連発」なるものがあったら結構面白いと思う。
男子の愛すべき日常を切り取った写真集ありますよ。
梅佳代 著 「男子」
お勧めです。