教員採用試験はサービス問題なんだぜ

毎年この時期になると小学校教員採用試験があります。教採は「落ちたら非正規、受かればブラック」カイジもびっくりのデスゲームです。それでも子どもと関わりたい猛者たちが毎年何百人も受験します。

試験には1次試験(筆記)と2次試験(面接)があります。

筆記試験会場は、「休み時間もテストされている」とか「靴を忘れたら絶対に合格できない」などの都市伝説が独特の雰囲気を醸し出しています。『希望は…夢は…人間とは別の何か…他のところにあるような気がしてたけど…そうじゃない…!人間がつまり…希望そのものだったんだ…』と、泣きながら記述したことを思い出しました。さながらカイジですね。

面接試験会場は、4人程度の小グループを作って面接や討論をします。「この中の誰かは落ちる」というもの凄い緊張感があります。『変でいい、変でなきゃダメだ…狂ってなきゃ、逸脱してなきゃ悪魔は殺せない…!常軌を逸してこそ開かれる、勝ちへの道がっ……!』と、みんな思っています。もうカイジです。

でも今考えると、教採は「教員としての資質」が問われる試験なので、大学生でも解ける簡単な問題しか出ないんですよね。

例えばこれ。

(2013年の問題)

児童が給食の牛乳をこぼし、友達にかかってしまいました。ケンカになりそうな雰囲気です。あなたは双方の児童に、どのような声かけをしますか。

受験当時は「これは大変だ」と思っていましたが、実際の現場を知ってから見ると全然大変ではありません。むしろ爽やかにすら見えます。だって、まだケンカ起きていませんからね。こぼしたのは不注意かふざけてかを聞いて、わざとじゃ無くても謝らせるしかありません。教育現場ではこれよりも、もっともっと複雑な問題に日々襲われています。

なので、僕がハードモードの面接問題とその答えを考えてみました。

一緒に見て行きましょう。

問1.

勉強を全くしない子がいます。聞くと、両親から「勉強なんてしなくてもなんとかなる」と教えられているようです。やる気を出させる声掛けを考えて下さい。

保護者が学校に対して良いイメージをもっておらず、子どもも無気力になってしまう典型的パターンです。保護者の教育方針が公教育とかけ離れている場合は、勉強の意義などを話しても無駄ですが、しないわけにもいかないジレンマ問題ですね。

 

解答です。小学校レベルの問題ができないと、自分が騙されやすくなることを具体例を用いて教えてあげます。例えば、計算ができないとお釣りをちょろまかされるとか、文字が読めないとヒントも見落としてしまうなどのように「自分が損をする」ことに気づかせたいです。最後に「分からないところはすぐに教えてあげるから、先生と一緒にやってみよう」と言います。

 

教育には、信頼できる大人が丁寧に見てあげることが必要ですよね。

次の問題です。

問2.

給食費を3年間払っていない児童がいます。お金がないわけではないようです。ある日の給食時、その児童が「給食くそまじーからいらねー」と言ってスープを全て食管に戻しました。感情的にならずに食育に関する指導をして下さい。

ぶっ叩くが正解ですが、問題文に感情的になってはいけないという指示があるので使えません。この問題の難しいところは、⑴給食費の未納 ⑵児童の非道徳的行い ⑶食育 の3つが重なっているところですね。

 

解答です。まず⑴の親が給食費を払っていない問題は、担任が1人で抱え込まずに学校全体で考えるべきです。未納者には別に口座を作ったり、学校に呼んで管理職と話す時間を取ってもらいます。⑵に関しては、何が嫌なのかを聞いてあげます。「春雨がグニョグニョして苦手」ぐらいならスープだけを渡します。少しでも飲めたら「苦手なものを少し減らしたら飲めたね」と言ってあげます。⑶の食育は、生産者の気持ちを考えさせるようにし、給食は体が丈夫に作られるために栄養バランスが考えられていることについても触れます。

 

保護者が絡んでくるとややこしくなります。子供に罪は無いんですけど。

最後の問題です。

問3.

先日、学習障害の疑いのある2年生の児童を見つけました。数字のアルゴリズムが理解できないようです。その保護者から「息子の算数の成績が落ちた」と電話がありました。あなたの指導力不足だと言いたいようです。電話口でどのように話しますか。ちなみに、両親は医者です。

学習障害は非常にデリケートな問題です。児童30人を毎日見ていれば、違和感にはすぐ気付きます。しかし、診断は医者にしかできません。電話口でのやり取りで、「えーでも半分はあなたのDNAですよ」というニュアンスが伝わらないように注意しましょう。

 

解答です。まず電話をいただいたことに感謝をし、自分の力不足を認めます。そして両親の悩みや不満を話していただきます。ヒアリングが終わったら、児童のために教師として全力を尽くすことを告げます。今後、注意深く見ることを約束し、電話を切ります。学習障害については、関係ができていない間は話さないようにします。その後、児童の様子やつまずいているポイントを定期的に伝え、一緒に考えていきます。関係ができたら診察を薦めます。

 

児童の出すサインを保護者に気付いてもらえるように、慎重に伝えたいですね。

まとめ

どうでしたか。初めの「牛乳こぼしてケンカしそうです」とか本当にサービス問題でしたね。

先生は勉強を教えるだけでなく、子供や保護者の感情をマネジメントすることも求められます。むしろ年々要望は増えていってます。

しかし先生は先生の限られた役割しかできません。本当にその子を思うならば、血のつながった親が何とかしなくてはいけませんね。

今年教採受ける人、頑張ってください。

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