ーー ここはある日の職員室。ゆとり先生くんとベテラン校長さんが話をしていた ーー
ゆとり先生くん
ベテラン校長さん
ゆとり先生くん
そうなんだ。文科省から教員の勤務時間を減らせと言われててね。先生の負担になっている部活をなんとかしたいんだけど、どうすればいいか分からなくて…ゆとり先生くん何かいい案ないかな?
ベテラン校長さん

そうです。このままだと仕事キツすぎてみんな辞めてっちゃいますよ。
あ!ちょっと待って!止まって!ちゃんとやる!やるから一緒に縮小プラン考えて〜!

もしもゆとり先生が小学校部活をリデザインしたら

今も愛知県や千葉県、京都市など一部地域で小学校部活動が行われています。
小学校部活動は学習指導要領にも載っていない完全なるオマケの活動。にも関わらず、昔からなぜか先生達の休憩時間に行う活動になっています。部活動の顧問を押し付けられた若手の先生は、休憩も取れずに働き続けているのです。
誰がどうやったっておかしいことは明白なのですが、昔からの悪しき伝統として現代に受け継がれています。しかも保護者の方や子ども達はやって当たり前と思っているため、無くすことが難しい現状にあります。
でも安心してください。無くすのは難しくても縮小はできます。全国の悩める校長のために、ゆとり先生くんが一緒に縮小プランを教えてくれるそうですよ。

じゃあお願いします。部活に悩む先生も部活をやりたい子供もどっちも救う夢のプランを考えていきましょう。

まずは、アウトラインを決めていきましょう。
下校時刻を設定します。先生たちは
給特法という法律に守られているので勤務時間を超えて働いてもらうことは原則できません。
部活が終わって子ども達が学校を出るのは遅くても午後4時45分にしましょう。
今は午後6時だけど…仕方ない…これも時代の流れなのね…


次は、活動時間です。縮小の目的が先生の勤務時間を削減することなので最低値を設定します。一定の運動量を確保するとなれば授業と同じ、45分で十分でしょう。
45分だけ?!それじゃ全ての子どもが運動するなんて無理じゃないか!


そうですよ。学校は元々部活動を十分にやれるように設計されていません。考えてみてください。狭い体育館で50人の子供が一斉にバスケットボールするんですよ。どっちみち十分な運動は期待できません。

次は
活動日です。週3日、火・水・金の6時間目終了後に行うことにしましょう。これは
名古屋や
京都の
部活動ガイドラインを参考にしました。

ダメですよ校長。時間割によって活動内容が変わるとややこしくなります。ややこしいルールは誰も守りません。
アウトラインまとめ
1.子どもが帰るのは午後4時45分
2.活動する時間は45分
3.活動日は火、水、金

量を減らした分、質を上げなければ色々な所から反発がきます。質を上げる方法は2通りあります。①練習メニューを変えるか②顧問を増やすかです。その2つを同時にクリアできるのが外部指導者です。クラブチームなどで指導経験のある人と協力して運営すればいいんです。
おお!それなら顧問の負担も減らせて子どもにも技術指導ができるってわけね!ファンタスティック!


さらに大会の精選をします。教育委員会主催の大会以外は出ません。そうすると半期に1度になります。
えー大会まで頑張って勝つのが部活動の醍醐味でしょ?


勝利至上主義は平成で卒業です。「仲間と活動することで、少しずつできることが増えて楽しい。」これを皆で目指しませんか。
その他まとめ
4.外部指導者を積極的に入れる
5.大会は教育委員会主催のものだけ

最後は部活顧問の確保です。五輪ボランティアみたいに運営を丸投げするのは良くないですよ。きちんと労働基準法を守って管理してこそ公教育だと思うんです。
つまり先生にきちんと休憩を取らせて尚且つ部活もやってもらうってこと?そんなことできるの?


できます。今日は特別に、焼肉食べ放題と引き換えに教えますよ。

お金はPTA会費から出すからじゃんじゃん食べてよ。なんつって。


じゃ遠慮なく。コラ。では早速、部活顧問の確保について考えていきましょう。結論から言うと全員顧問制にして各部活動の顧問の数を3人以上にしたいです。

先生たちに抜け道も作るので大丈夫です。理解してもらうために、この図を見て下さい。労働基準法に則って、勤務時間を見える化してみました。オレンジ色の部分が先生の残りの勤務時間になります。

授業が終わって、残りの勤務時間はなんと合計約30分しかありません。これじゃ45分の部活動は持たせられません。
しかし、あるロジックを使えばもたせられるんですね。それがこれ。
2.休憩時間について
休憩時間の付与に当たっては、1労働時間の途中に与えなければならす、 2原則としていっせいに与えなければならず、3自由に利用させなければ ならない。
ただし、2について、地方公務員は、条例に定めがある場合、交代制によ り、または個々の職員別々に休憩時間を与える事も認められる。(同条第3 4条第2項但書、地方公務員法第58条第4項)
つまり、3人の顧問に時間をずらして休憩を与えるんです。そして15分ずつ交代で部活を見てもらいます。
ここの焼肉屋の店員さんと同じですよ。皆さん状況を見て、時間をずらして休憩を取ってますよね。それを学校でやるとこうなります。
[部活動の活動時間;午後3時45分から午後4時30分の場合]
- A先生 午後3時45分から15分間部活 45分間休憩
- B先生 午後3時45分から15分間休憩 15分間部活 30分間休憩
- C先生 午後3時45分から30分間休憩 15分間部活 15分間休憩
どうですか。先生たちに休憩を取らせて、尚且つ部活もギリギリ存続可能です。
確かにこれなら理論上は部活動が勤務時間内に収まってるよ。でもさ、全員顧問制ってことは妊婦の先生とか講師さんも皆対象なの?


そうです。でも実はこれ、校長を守るための外向きのロジックです。こういう建前で、学校の中ではもっと柔軟に運営します。

部活動の運営は3人以上で行います。その中で相談して、曜日当番制にするとか、仕事内容(監督・部員管理・外部講師マネジメント)で分けるなどします。できる人ができることをやるのが一番効率が良いですよね。
そうなると、「先輩の先生が出てるから自分も出なきゃ…」みたいなのは一番やっちゃいけないワケね。


そうです。僕に言わせてみれば、タンなる時間のロースってとこでしょうか。
小学校部活動縮小プランまとめ
1.子どもが帰るのは午後4時45分
2.活動する時間は45分
3.活動日は火、水、金
4.外部指導者を積極的に入れる
5.大会は教育委員会主催のものだけ
6.顧問は全員顧問制、3人以上で運営する
最後に
小学校部活動は外国語や道徳、プログラミング教育が始まったらもっと大変なことになります。今は忙しくて無理かもしれませんが、待っていてもこの忙しさが解消されることはありません。
小中高問わず、もしも今、部活動で悩んでいるんだったら縮小プランを考えて校長に相談してみましょう。文科省の通知やガイドライン、労基法に沿ったものを提示すれば断る理由はありません。
むしろ校長の仕事をやってあげているわけですから、感謝して焼肉のひとつでも奢ってくれても良いくらいです。それくらいのラフさでアプローチし続けてのんびりやって行きましょう。
合言葉は、バックトゥノーマル
凄い!なんとなく見えてきた!校長、来週から頑張っちゃう!よーし今日は車だけど飲むぞー!すいませーんレモン酎ハイひとつ!


もしもし。警察ですか。逮捕して欲しい人がいるんです。
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