【第3回:座学】1年間やってみた!学校の5Sの8つの成果

ゆとり先生くん

今回は、学校の5Sの成果について学んでいきましょう。
よろしくなのね。

ベテラン校長さん

校長先生、学校の5Sとは簡単に言うと学校の片付けのことです。片付けをするとどんな良いことがあると思いますか?
物が整頓されて使いやすくなるのかな?

さすがですね正解です!正解はあと7つあります。何でしょう。
ええ〜そんなに…その正解数からすると1つしか分からないワシは不正解に近いんじゃ…

そんなになで肩を落とさないで下さい。今から1つずつ説明しますから。
なで肩じゃないもん。

はじめに

学校の5Sはただの片付けではありません。

片付けを進めていくうちに、効率的に働けるようにレイアウト変更をしたり、業務が流れる仕組みを構築し直したりできるようになってきます。すると生産性が上がり、「もっと変えていきたい」と先生達の心にも変化を及ぼし始めます。業務の効率化意識改革が同時にできるんですね。

では、ここから僕が学校の5Sを1年間運用した成果8つ紹介したいと思います。

 

ちなみに、基本的な方向性は文科省が示した以下のものを参考にしました。

学校の5Sの8つの成果

1、物が無くなってスッキリした!

職員室と学校全体の断捨離を行いました。職員室からは688kg、教材室からは33kg、その他3kgの物が無くなりました。さらに冬休みと夏休みを使って、学校準備室、更衣室、相談室、放送室、PC室、視聴覚準備室、理科室、図工室、体育館倉庫、運動場器具庫、クラブ室、プール準備室、自転車置き場など、ほぼ全ての場所で断捨離を行いました。

最終的に3000kg強の物を廃棄しました。


2、作業の動線が確保された!

無駄がなく動けるように職員室内のレイアウトを大幅に変更しました。コピー機の横に2畳ほどの広さの作業台を置き、そこを中心に3歩以内でハサミやペン、ラミネーターが使えるように考えて配置しました。また、子どもが職員室内を歩き回らないように色画用紙やチョーク、トイレットペーパーは入り口付近にまとめました。外体育で使う太鼓やストップウォッチや電子ホイッスルは運動場から靴を脱がずに撮れる場所に変更しました。


3、物の定位置が決まって使いやすくなった!

職員室の整理整頓が進み、いつも決まった場所に物があるので探し物をすることがなくなりました。断捨離で捨てようと思った引き出し付きの棚を再活用し、文具ステーションを作りました。他にも紙ステーション、充電ステーションを作り、一度行けば目的がそこで完結できるようにしました。

MEMO
ステーションとは、「同じ種類のもの」を一箇所に集めた場所を意味します。

4、鍵置き場を新しくデザインし直した!

鍵は先生だけでなく子どもも毎日使うため、鍵置き場はユニバーサルデザインであるべきだと考えています。鍵自体は札を白に統一し、特別教室の表示には1年生でも目で見てわかるように絵文字とふりがなを付けました。鍵掛けは掲示板の裏側を再利用し、鍵と鍵の間隔や高さに気を付けてデザインし直しました。

例えば、1年生がよく使う図書室や絵本室の鍵のみ最下段に設置されています。


5、デジタルファイルの整理整頓をした!

今までおざなりにしてきたデジタルファイルの断捨離にも取り組みました。共有ファイルは、校務分掌表に従って細分化し、誰でも目的のファイルまでたどり着く事ができるようにしました。また、アンケートなどは公務支援ソフトのアンケート集計機能で集めるようにしました。これにより、印刷する手間とデータに起こす手間がなくなりました。


6、行事が減った!


物が減って効果が現れ始めると、目に見えない行事も減らしたいという声が出ました。そこで行事の精選を行い、年に1度の学校祭や家庭訪問、プール出校日を無くしました。細かいところでは、勤務時間より前に暗黙の了解で行われていた職員の挨拶運動を廃止しました。


7、部活動が外部化に進んだ!

部活動の今後の方向性を決める会議を開き、外部化して行くことになりました。今年から外部顧問1名、外部指導者6名、クラブチームのコーチ2名がそれぞれ部活を見てくださっています。活動時間も今まで夕方6時までやっていたところを夕方4時45分まで(勤務時間内)にするなど、大幅に改善しました。

もしもゆとり先生が小学校部活をリデザインしたら

8、時間外在校時間が減った!

部活動の時間が半分程度になったことで、その分早く帰れる日も増えました。また、以前は名ばかり定時退行日だったものがちゃんと機能するようになりました。先日は、定時退行日に「テニスで汗を流す会」が企画され、職員16人でテニスをしに行きました。会には、若手や学年主任だけでなく用務員や事務、なんと校長や教頭も参加しました。

まとめ

学校の5Sには色々な効果があるんですね。

これほどの改革ができたのは、他でもない先生方の協力のおかげです。よく「職員一丸となって」と言ったりしますが、一丸となることを個人の努力に任せてはいけません。一丸となれるように環境をデザインすれば自然といい方向に転がっていきます。

このように学校の5Sは、「人や業務の流れをコントロールするツール」としてうまく運用すると、学校の動き自体をコントロールできるようになるのです。

学校は物に支配されているので、物を支配すれば学校を支配できるのです。
ちょいちょい怖いね…でも、なんだかできそうな気がしてきましたゾ!早速校内の視察から始めようかな!

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